「企業の知名度が高ければ、AIにもおすすめされやすい。」
そう考えるのは自然なことかもしれません。
しかし、2026年10月に発表された調査では、消費者が思い浮かべる企業と、生成AIがおすすめする企業に違いがあることが明らかになりました。
さらに興味深いのは、ChatGPTとGeminiでも、おすすめとして挙がる企業が大きく異なっていたという点です。
これは大企業だけの問題なのでしょうか。
ORCHIS STUDIOでは、むしろ中小企業や小規模事業者にとっても、今後のホームページ運用を考える重要な材料になると捉えています。
ChatGPTとGeminiで共通した企業は10社中わずか3社
2026年10月13日、株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズは、がん・医療保険会社を対象とした「AI×業界調査」を発表しました。
調査では、保険の加入や見直しを検討した消費者1,000人へのアンケートに加え、ChatGPTとGeminiにそれぞれ1,000回ずつ「おすすめのがん・医療保険会社を教えて」と質問しています。
主な結果は以下のとおりです。
| 比較対象 | TOP10で共通した企業 |
|---|---|
| 消費者とChatGPT | 8社 |
| 消費者とGemini | 5社 |
| ChatGPTとGemini | 3社 |
消費者とChatGPTでは比較的多くの企業が重なった一方、ChatGPTとGeminiでは、上位10社のうち共通していたのは3社だけでした。
同じ業界について同じ質問をしても、利用する生成AIによって、候補として挙がる企業が異なるという結果です。
なお、この数字は2026年7月に取得された回答に基づくものです。対象は国内のがん・医療保険会社であり、すべての業界で同じ傾向になることを示した調査ではありません。
それでも、企業がAI上でどのように紹介されるかは、従来の知名度だけでは判断できないことがうかがえます。
なぜAIによっておすすめ企業が違うのか?
まず押さえておきたいのは、生成AIは人間と同じ方法で企業を選んでいるわけではないということです。
人間が企業を思い浮かべるときには、テレビCM、SNS、口コミ、過去の利用経験など、さまざまな接点が影響します。
一方、生成AIの回答には、モデルが持つ知識や、利用可能な外部情報、質問内容、回答生成の仕組みなどが関係します。
そのため、世間でよく知られている企業が必ず上位に挙がるとは限りません。
ただし、今回の調査だけで「なぜ特定の企業が選ばれたのか」という因果関係まで断定することはできません。
重要なのは、人間に知られていることと、AIが適切な候補として紹介することは、別の問題として考える必要があるという点です。
AI検索対策は、SEOをやめることではない
最近はGEO(生成AIエンジン最適化)やLLMO(大規模言語モデル最適化)といった言葉も使われるようになりました。
こうした動きから「これからはSEOではなくAI対策が必要」と考える方もいるかもしれません。
しかし、ORCHIS STUDIOでは、従来のSEOを捨てて新しい対策に乗り換えるという考え方はおすすめしていません。
なぜなら、Google検索であっても生成AIによる情報収集であっても、企業が自社について正確で具体的な情報を発信することの重要性は変わらないからです。
例えば、次のような情報です。
- 何を提供している会社なのか
- どのような顧客を対象としているのか
- 他社と比べてどのような特徴があるのか
- 対応エリアや料金、サービス範囲はどうなっているのか
- どのような実績や事例があるのか
- 問い合わせや相談はどこからできるのか
これらは、顧客がサービスを比較検討するうえでも重要な情報です。
AI向けに特別な文章を書くことよりも、まずは人間にもAIにも理解しやすい情報を整備する。
その方が、無理なく取り組める改善になると考えています。
なお、ホームページの情報を整理する前に、まず確認したいのが「何のためのホームページなのか」という目的です。
認知を広げたいのか、問い合わせを増やしたいのか。それによって優先すべき情報も変わります。
ホームページの目的設定については、こちらの記事でも解説しています。
中小企業が見直したいホームページの3つのポイント
では、実際に何から確認すればよいのでしょうか。
ORCHIS STUDIOでは、次の3つから見直すことをおすすめします。
1.自社の事業内容が具体的に説明されているか
例えば、ホームページに「お客様に寄り添う高品質なサービスを提供します」と書かれていたとします。
企業の姿勢を伝える言葉としては悪くありません。
しかし、それだけでは何を提供している会社なのか分かりません。
「東京都内の小規模店舗向けに、予約導線を含むホームページ制作と運用改善を支援しています」
このように、対象顧客と提供内容が明確であれば、読者も自社に合ったサービスかどうかを判断しやすくなります。
抽象的なキャッチコピーだけで終わらせず、具体的なサービス説明まで用意することが大切です。
2.比較検討に必要な情報が揃っているか
ホームページを訪れた人が知りたいことは、企業の理念やサービス名だけではありません。
料金の目安、対応範囲、依頼の流れ、よくある質問なども重要です。
特に小規模事業者では、サービス内容を一通り説明していても、実際に依頼するための判断材料が不足していることがあります。
「いくらぐらいかかるのか分からない」
「自社のような小さな会社でも依頼できるのか分からない」
こうした疑問が残る状態では、検索やAI経由で興味を持たれても、その先の相談につながりにくくなります。
まずは顧客が比較するときに必要な情報を洗い出してみましょう。
3.情報が古いまま放置されていないか
事業内容や料金、営業時間などが変更されても、ホームページが更新されていないケースがあります。
これは人間の読者にとっても問題ですが、外部から参照される企業情報の正確性という点でも望ましくありません。
例えば、現在は提供していないサービスが掲載されていたり、所在地が古いままだったりすると、顧客が誤解する原因になります。
ただし、ホームページを更新すれば、その内容がすぐにすべての生成AIへ反映されるわけではありません。
更新した情報がAIの回答に反映されるかどうかは、利用するサービスや情報取得の仕組みによって異なります。
それでも、公式情報を正しい状態に保つことは、企業の情報発信における基本です。
自社がAIにどう紹介されるか、確認してみる
ここまで読んで、自社がAIにどのように紹介されるのか気になった方もいるかもしれません。
最初の確認としては、ChatGPTやGeminiに実際に質問してみる方法があります。
例えば、
「〇〇市でホームページ制作を依頼するなら、どの会社が候補になりますか?」
「小規模飲食店向けの予約システムを相談できる会社を教えてください」
といった質問です。
このとき、自社が出てくるかどうかだけではなく、次の点にも注目してください。
- どのような条件で企業が紹介されるか
- 自社について説明された内容は正確か
- 競合としてどのような企業が挙がるか
- 回答に参照元が示されている場合、どのページが使われているか
ただし、1回の質問結果だけでAI上の評価を判断することはできません。
質問の仕方や取得時期を変えれば、結果も変わる可能性があります。
これはあくまで現状把握のための簡易チェックと考えてください。
大切なのは「AIに選ばれる裏技」ではなく、情報の整備
今回の調査から、AIによる企業の紹介が従来のブランド認知とは異なる可能性が見えてきました。
だからといって、すべての企業が今すぐ大がかりなAI検索対策に投資する必要があるとは考えていません。
特に中小企業や小規模事業者の場合、まず取り組みたいのは既存のホームページの見直しです。
自社の強みは具体的に説明できているか。
顧客が比較検討するための情報は揃っているか。
興味を持った人が迷わず相談できる導線になっているか。
こうした基本的な情報設計は、検索エンジン対策だけでなく、SNSから訪れた人への説明や問い合わせの改善にもつながります。
AIに見つけてもらうことだけを目的にせず、見つけた人が納得して次の行動へ進める状態をつくる。
ORCHIS STUDIOでは、これからのWeb運用でも、この視点が重要だと考えています。
まずは、自社ホームページの現状確認から
ORCHIS STUDIOでは、中小企業・小規模事業者向けに、ホームページ制作や既存サイトの改善、SNSから問い合わせまでのWeb導線設計を支援しています。
「自社の強みがホームページで伝わっているか分からない」
「サービス内容を整理したい」
「SNSや検索からのアクセスを相談につなげたい」
こうした段階からでもご相談いただけます。
新しい施策を増やす前に、今ある情報と導線を見直してみませんか。
参考資料
株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ(2026年10月13日)
「生成AI各1,000回×消費者1,000人比較調査」
→ https://www.plan-b.co.jp/news/llmo_report_202610/
※本記事の実務的な改善提案は、調査結果を踏まえたORCHIS STUDIO独自の考察です。調査によって個々の改善施策の効果が実証されたものではありません。

