「企業Xって、運用ルールまで作った方がいいんですか?」
企業公式アカウントを運用していると、どこまで担当者の判断に任せるのか迷うことがあります。
投稿するたびに上司へ確認していたら動きにくい。
かといって、すべて担当者判断にしてしまうのも少し怖い。
さらに、
担当者が休んだら投稿できない。
ログイン方法をその人しか知らない。
画像素材が担当者のパソコンにしかない。
返信の基準が分からない。
こんな状態になっている企業もあります。
ただ、だからといって100ページあるようなSNS運用マニュアルを最初から作る必要はありません。
ORCHIS STUDIOでは、企業Xの運用ルールは、
担当者を縛るためではなく、担当者が迷わず動けるようにするために作るもの
だと考えています。
そしてもう一つ大事なのが、
担当者が変わっても、会社に運用を残せること。
今回は、小規模事業者や店舗が企業Xを運用するときに、最低限どこまでルールを決めておけばいいのかを整理します。
「全部確認」でも「全部お任せ」でも運用しにくい
企業公式Xでは、個人アカウントと違って会社名で投稿します。
そのため、
「念のため全部上司に見てもらおう」
となることがあります。
もちろん重要な情報を確認することは必要です。
ただ、日常的な投稿まで毎回確認が必要になると、
担当者が原稿を作る。
上司へ送る。
確認を待つ。
修正する。
もう一度確認する。
という流れになり、1投稿するだけでかなり時間がかかります。
これではXの良さであるスピード感も使いにくくなります。
一方で、
「SNSは担当者に任せているから」
と完全に任せきりにするのも危険です。
価格やキャンペーン条件を間違える。
公開前の商品が写真に写る。
個人アカウントのつもりで企業アカウントから投稿する。
クレームへ担当者個人の判断で返信する。
こうしたことが起きたとき、外から見れば「担当者が投稿した」ではなく、会社が発信した情報です。
必要なのは、すべて確認することではありません。
担当者が判断していい範囲と、会社として確認する範囲を先に分けておくこと。
ここから運用ルールを考えると分かりやすくなります。
まず決めたいのは「そのまま投稿していいもの」
運用ルールを作るとき、最初から「禁止事項」を大量に並べる必要はありません。
むしろ先に、
担当者判断でそのまま出していい投稿
を決めておく方が運用しやすくなります。
たとえば、
日常のお知らせ。
営業時間の案内。
普段の現場写真。
よくある質問への回答。
過去に公開済みの記事紹介。
などです。
すでに会社として公開している情報で、大きなリスクがないものなら、毎回確認しなくてもいいかもしれません。
反対に、
価格変更。
キャンペーン条件。
採用条件。
会社の正式見解。
クレームやトラブルへの返信。
まだ公開していない商品やサービス。
などは、社内確認を入れる。
こうして線引きをしておけば、
「これ投稿していいですか?」
を毎回聞かなくても済みます。
企業SNSで必要なのは、確認回数を増やすことではありません。
確認が必要なものを決めることです。
誤爆対策は「気をつける」だけにしない
企業公式アカウントで分かりやすいリスクが、アカウントの誤爆です。
個人アカウントと企業アカウントを同じスマートフォンやブラウザで使っていると、
個人アカウントへ投稿したつもりだった。
リプを返すアカウントを間違えた。
といったことは起こり得ます。
「投稿前に気をつけましょう」だけでは、なかなか防げません。
そこで、
- 投稿前にアカウント名を確認する。
- 一度下書きや予約投稿に入れてから確認する。
- 投稿直前に本文・画像・投稿先をもう一度見る。
といった手順そのものを決めておきます。
ORCHISでも、予約投稿を使えるものは先にセットし、その場の勢いだけで投稿しない運用を基本にしています。
特別なシステムを導入しなくても、
投稿ボタンを押す前に一度止まる仕組み
を作るだけで、誤爆対策になります。
アカウントの管理方法も会社側に残す
もう一つ忘れやすいのが、ログイン情報です。
担当者しかアカウントへ入れない状態では、その人が急に休んだり退職したりしたときに運用が止まります。
X公式も、アカウント保護のために、他サービスと使い回さない強固なパスワードや2要素認証の利用を案内しています。
企業アカウントなら、
「誰がアクセスできるのか」
「担当変更時に何を変更するのか」
「登録メールアドレスを誰が管理するのか」
まで会社側で把握しておいた方が安全です。
大切なのは、SNS担当者の個人的な管理にしないことです。
会社のアカウントは、会社が戻せる状態にしておく。
これは投稿内容以前の運用ルールです。
営業時間外の返信ルールを決めておく
Xは24時間動いています。
夜にリプが来ることもありますし、休日にDMが届くこともあります。
そこで担当者が、
「早く返した方が印象がいいかも」
と個人的に対応し続けると、いつの間にか夜間や休日もSNSを確認する状態になってしまいます。
これは長く続きません。
企業公式だからといって、24時間返信する必要はありません。
基本は営業時間内。
緊急性があるものだけ責任者へ共有。
問い合わせは正式な問い合わせ窓口へ案内する。
といった形で、会社として基準を決めておけばいいのです。
以前の記事でも触れた通り、企業Xでは投稿頻度を増やすことより、無理なく改善を続けられる運用を作ることを重視しています。
返信についても同じです。
担当者の善意を前提にしない。
会社として続けられる範囲を決めておきます。
【あわせて読みたい:企業Xの投稿頻度はどれくらいがいい?毎日投稿すべきか・半年続ける運用設計】
「交流すること」をノルマにしすぎない
企業Xでは、
いいねを増やすために毎日交流する。
フォロワーを増やすために大量にフォローする。
毎日何十件もリプする。
といった運用が紹介されることもあります。
ただ、企業公式でこれをそのままルールにすると注意が必要です。
Xでは、自動的なフォロー・フォロー解除や、注目を集める目的で大量・無差別にフォローする行為についてルールが設けられています。また、多くのアカウントへ重複した一方的な返信を繰り返す行為もスパムとみなされることがあります。
そのため、
「1日50人フォローする」
「毎日30件同じようなリプをする」
のように、交流量そのものをノルマにする運用はおすすめしません。
ORCHISでは、
反応 ≠ 関係 ≠ 仕事
と考えています。
交流する目的は数字を作ることではなく、必要な相手との接点を作ることです。
数をこなすより、誰と、なぜ交流するのか。
ここを決めた方が、企業アカウントでは運用しやすくなります。
投稿前は文章だけでなく「写真の四隅」まで見る
企業公式の投稿で、意外と注意が必要なのが写真です。
現場写真を撮ったとき、
後ろのホワイトボード。
机の上の伝票。
パソコン画面。
顧客名。
電話番号。
住所。
未発表の商品。
こうしたものが偶然写り込むことがあります。
Xのルールでも、他人の住所や電話番号などの個人情報を本人の明確な許可なく公開することは禁止されています。
そのため企業投稿では、文章を確認するだけでなく、
写真を拡大して、四隅まで確認する。
これを投稿前のルールに入れておくと安心です。
現場の人にとっては「いつもの風景」でも、外へ出していい情報とは限りません。
クレームやトラブル時は「誰が返すか」を決める
普段の「ありがとうございます」という返信と、
商品トラブル。
クレーム。
誤情報の指摘。
炎上につながりそうな投稿。
では、同じように対応する必要はありません。
特に注意したいのが、担当者がその場で何とかしようとすることです。
普段から丁寧に返信している人ほど、
「すぐ返さないと」
と思ってしまうかもしれません。
ただ、企業公式としての回答が必要な内容は、一度社内で確認した方がいい場合があります。
そこで、
通常の質問なら担当者判断。
個別の契約や金額が絡むなら担当部署へ。
クレームや会社の正式見解が必要なら責任者確認。
というように、返信にも境界を作っておきます。
企業SNSの運用ルールは、担当者に「何を言ってはいけないか」を覚えさせるものではありません。
迷ったときに、誰へ渡せばいいか分かる状態を作るものです。
担当者の「キャラ」に頼りすぎない
企業Xでは、「中の人」の個性が人気につながるケースもあります。
これは悪いことではありません。
担当者の人柄が見えることで、会社に親しみを持ってもらえることもあります。
ただし、
その担当者しか書けない。
その人しかフォロワーとの関係が分からない。
担当者が変わると急にアカウントの雰囲気が変わる。
という状態になると、企業アカウントとしては引き継ぎが難しくなります。
属人性をゼロにする必要はありません。
ただ、
どれくらいの丁寧さで話すのか。
絵文字は使うのか。
企業として言わない表現はあるのか。
リプではどこまで雑談するのか。
といった基本的な温度感は残しておくと、新しい担当者も入りやすくなります。
中の人はいていい。でも、中の人がいないと成立しない状態にはしない。
このバランスが企業公式では重要です。
投稿素材と判断基準も「会社の共有物」にする
担当者交代で困るのは、ログイン情報だけではありません。
過去に使った画像。
よく使うサービス説明。
投稿テンプレート。
イベント写真。
FAQ。
記事URL。
「この投稿は上司確認が必要」という判断基準。
こうしたものが担当者のパソコンや頭の中にしかないと、担当が変わった瞬間にゼロからやり直すことになります。
投稿ネタについては、「企業Xは何を投稿すればいい?ネタ切れしない投稿テーマの決め方」でも解説しましたが、企業にはすでに発信に使える資産があります。
それを個人のフォルダではなく、会社の共有資産として残しておく。
これだけでも、SNS運用はかなり引き継ぎやすくなります。
最低限の運用ルールは「1枚」からでいい
最初から立派なSNSガイドラインを作る必要はありません。
まずは、次の項目を1枚にまとめるくらいでも十分です。
- アカウントへアクセスできる人と管理方法
- 担当者判断で投稿していい内容
- 社内確認が必要な内容
- 投稿前に確認する項目(アカウント・文章・画像)
- リプ・DMへ対応する時間と範囲
- クレームやトラブル時の連絡先
- 投稿素材・テンプレートの保存場所
- 担当者交代時に引き継ぐもの
大切なのは、文書を作ることではありません。
実際の運用で、
「これは誰に聞けばいい?」
「今日は返信しないとダメ?」
「この写真は出して大丈夫?」
という迷いを減らせることです。
運用してみて迷う場面が出たら、その都度ルールを一つ追加する。
そのくらいから始めた方が、実際に使われるルールになります。
運用ルールはSNS担当者を守るためでもある
企業側から見ると、SNS運用ルールは「会社を守るもの」に見えます。
もちろんそれも重要です。
ただ、もう一つ大きな役割があります。
SNS担当者を守ることです。
返信する時間が決まっている。
判断していい範囲が分かっている。
困ったときに相談する相手がいる。
休んでも別の人が運用できる。
この状態なら、担当者が一人ですべてを抱える必要がありません。
逆に、
「いい感じに運用しておいて」
だけで任される方が、実は負担は大きくなります。
成果について社内へどう説明するかは、「企業公式Xの成果を社内でどう伝える?フォロワー数だけでは伝わりにくい理由」でも整理しています。
運用ルールと成果報告の両方を会社側と共有できれば、SNSは担当者だけの仕事ではなくなっていきます。
まとめ|企業Xを「担当者の仕事」で終わらせない
企業公式Xに必要なのは、分厚い運用マニュアルとは限りません。
大切なのは、
担当者が迷わず動けて、担当者が変わっても続けられる状態を作ること。
です。
投稿前の確認。
返信する時間。
社内確認が必要な内容。
写真のチェック。
トラブル時の連絡先。
アカウントや素材の管理。
こうした最低限の線引きがあるだけでも、企業SNSはかなり運用しやすくなります。
ORCHIS STUDIOでは、
SNSを「担当者の仕事」から「会社の資産」にしておく。
ことが、企業公式アカウントを長く続けるうえで重要だと考えています。
投稿を上手くすることだけがSNS運用ではありません。
投稿する人が変わっても、
会社として同じ方向を向いて運用できる。
そこまで作れて、初めて企業のSNS運用になります。
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