2026年10月12日、写真・映像コンテンツの世界的大手であるGetty Images(ゲッティイメージズ)が、大規模な経営再建計画を発表しました。
Getty Imagesといえば、報道写真や広告素材、Webサイトに使われるストックフォトなどを提供する企業です。
Webサイト制作や広告に関わる方なら、一度は名前を聞いたことがあるかもしれません。
今回のニュースについては、生成AIによる画像制作の普及が背景の一つとして注目されています。
しかし、今回の経営再建を「AIに仕事を奪われた結果」とだけ捉えてしまうと、見落とすものがあります。
重要なのは、AIによって画像を作れるようになったこと以上に、顧客がお金を払う理由が変わりつつあることです。
これは画像業界だけの話ではありません。
Web制作、デザイン、広告、そして地域の小規模事業者にとっても、考える価値のある問題です。
Getty Imagesに何が起きたのか?
Getty Imagesが2026年10月12日に発表したのは、財務基盤を立て直すための包括的な経営再建計画です。
主な内容は次のとおりです。
- Getty創業家の関係会社とKoch Equity Developmentが、最大5億3,300万ドルの出資を約束
- 無担保社債2億7,000万ドル分の整理を含む債務再編
- 米連邦破産法11条(Chapter 11)に基づく、事前調整型の再建手続きを今後開始する予定
- 再建完了後は非上場企業となる計画
- 2026年末までの再建完了を見込む
ここで注意したいのは、今回の発表が「Getty Imagesのサービス終了」を意味するわけではないということです。
会社側は、再建手続き中も通常どおり事業を継続し、顧客やコンテンツ提供者への影響は想定していないと説明しています。
また、今回の経営再建には、多額の負債や、競合Shutterstockとの統合計画の頓挫など、複数の事情が関わっています。
そのため、生成AIだけを経営再建の原因と断定することはできません。
ただし、画像を取り巻く市場環境が大きく変化していることは、無視できないでしょう。
AIによって変わったのは「画像の作り方」だけではない
以前、広告やWebサイトに適した画像が必要になったとき、企業にはいくつかの選択肢がありました。
カメラマンに撮影を依頼する。デザイナーに制作を依頼する。あるいは、ストックフォトサービスから条件に合う画像を購入する。
どの方法を選ぶにしても、一定の費用や手間が必要でした。
ところが、生成AIの登場によって、この状況は変わり始めています。
例えば、ホームページに掲載するイメージ画像が必要になったとします。
以前なら複数のストックフォトを比較して探していたものが、現在は生成AIに希望するイメージを伝え、画像を作るという選択肢もあります。
もちろん、AIで生成した画像がすべての用途に適しているわけではありません。
著作権や利用規約、人物・商品の正確な再現、広告表現など、確認すべき問題もあります。
それでも、従来は専門サービスに依頼するしかなかった一部の作業を、利用者自身で行えるようになったのは大きな変化です。
つまり変わったのは、画像を制作する技術だけではありません。顧客が比較する選択肢そのものが増えたのです。
では、写真やデザインの価値はなくなるのか?
ここで考えたいのが、「画像を作れること」と「その画像に価値があること」は必ずしも同じではない、という点です。
例えば、ニュース記事で使用される報道写真を考えてみましょう。
報道写真に求められるのは、単に見栄えの良い画像であることではありません。
「その出来事が実際に起きたことを記録している」という信頼性が重要になります。
AIでそれらしい画像を生成できたとしても、現実の出来事を撮影した写真と同じ役割を果たせるわけではありません。
企業のホームページでも同じです。
実際の店舗、スタッフ、施工事例、商品を紹介するなら、実物を正確に伝える写真には大きな意味があります。
一方で、サービスの雰囲気を伝える装飾的な画像であれば、AI生成画像が十分に役立つ場合もあります。
ここから分かるのは、すべての画像が同じ価値を持っているわけではない、ということです。
何を作るかではなく、その画像が顧客のどんな目的を満たしているか。
価値を考える起点は、そこにあります。
中小企業も「何を売っているのか」を見直す必要がある
この話は、写真やデザインを販売する企業だけに関係するものではありません。
例えば、Web制作会社が「ホームページを作ること」をサービスの中心にしているとします。
しかし現在は、テンプレートやノーコードツール、AIを使って、自分でホームページを作る選択肢も増えています。
では、制作会社は不要になるのでしょうか。
必ずしもそうではありません。
ホームページを作ることと、ホームページを使って問い合わせや予約を増やすことは、別の問題だからです。
見た目が整っていても、サービスの内容が伝わらない。問い合わせボタンが見つからない。アクセスはあるのに予約につながらない。
そうした問題を解決するには、顧客の行動を理解し、情報の見せ方や導線を設計する必要があります。
これは他の業種でも同じです。
飲食店なら、料理を提供するだけではなく、どのような体験を提供しているのか。
美容室なら、髪を切るだけでなく、どんな悩みを解決し、どのような安心感を提供しているのか。
小売店なら、商品を並べるだけでなく、なぜその店で買いたいと思ってもらえるのか。
もちろん、こうした価値は以前から存在していました。
ただ、AIによって商品や制作物を用意する手間が下がるほど、従来のサービスで顧客が何にお金を払っていたのかを、改めて確認する必要が出てきます。
自社の提供価値を見直すための3つの質問
では、中小企業は具体的に何から始めればよいのでしょうか。
いきなりAIツールを導入したり、サービス内容を大幅に変更したりする必要はありません。
まずは次の3つを整理してみてください。
1. お客様は何を目的に自社の商品・サービスを購入しているか?
提供している商品や作業内容ではなく、その先にある目的を考えます。
例えば、「ホームページが欲しい」という要望の背景には、「問い合わせを増やしたい」「信用してもらいたい」「予約対応を効率化したい」といった目的があるかもしれません。
購入理由を確認すると、実際に求められている価値が見えてきます。
2. その目的を達成するための選択肢は増えていないか?
以前は専門業者に依頼するしかなかった作業でも、現在はAIや各種ツールを使って自分でできる場合があります。
ここで大切なのは、AIを競争相手と決めつけないことです。
AIで代替できる部分と、人が関わることで価値が高まる部分を分けて考えます。
3. 自社が本当に強みを発揮できるのはどこか?
AIで効率化できる作業を無理に守り続けるより、顧客の課題を整理したり、適切な方法を判断したり、実際の運用を支援したりすることに強みがあるかもしれません。
ただし、すべての企業がコンサルティング型のサービスを目指す必要もありません。
品質、納期、価格、専門性、地域性、安心感など、顧客が重視する価値は業種や市場によって異なります。
大切なのは、自社の強みを思い込みだけで決めず、お客様の声や実際の購買行動と照らし合わせることです。
AIを導入する前に、仕事の流れを見直す
AI時代への対応というと、新しいツールを使うことに意識が向きがちです。
しかし、ツールを導入しただけで、事業の課題が解決するわけではありません。
例えば、問い合わせへの対応が遅い企業があったとします。
その原因が、問い合わせの見落としなのか、担当者への情報共有なのか、返信内容を考える時間なのかによって、必要な対策は変わります。
場合によっては、AIよりもフォームの改善や通知設定の見直しが先かもしれません。
反対に、問い合わせ内容の分類や返信案の作成に時間がかかっているなら、AIが役立つ可能性があります。
大切なのは、AIを使うことを目的にせず、解決したい業務上の問題から考えることです。
これは、AIによって事業環境が変化したときにも共通する考え方です。
新しい技術に合わせて何かを始める前に、顧客の目的と自社の仕事の流れを確認する。
その上で、残すもの、変えるもの、新しく取り入れるものを判断していく必要があります。
まとめ|AI時代に見直すべきなのは、技術よりも価値の届け方
Getty Imagesの経営再建には、財務上の問題や経営環境の変化など、さまざまな要因が関わっています。
そのため、今回のニュースを単純に「AIが老舗企業を倒した事例」と考えるのは適切ではありません。
ただ、生成AIによって顧客の選択肢が変化していることは、多くの企業にとって無関係ではないでしょう。
以前と同じ商品やサービスを提供していても、顧客がそれを選ぶ理由は変わっているかもしれません。
だからこそ、自社が提供している価値を改めて整理する必要があります。
何を作っているのか。
何を販売しているのか。
そして、お客様は何を期待して自社を選んでいるのか。
AI時代の事業改善は、そうした問いから始めても遅くありません。
自社のWeb活用や業務改善、どこから見直すべきか迷っていませんか?
ORCHIS STUDIOでは、ホームページや問い合わせ・予約導線、日々の業務の流れなどを整理し、事業の状況に合った改善方法を一緒に考えます。
新しいAIツールを導入することだけが解決策とは限りません。
まずは現在の課題を確認するところから、お気軽にご相談ください。
参考資料
本記事は2026年10月14日時点の発表・報道をもとに作成しています。

